太極拳の目的は「護身」
太極拳の目的は「護身」です。
護身には2つの意味があります。1つは暴漢などの暴力から身を護る護身、もう1つは病魔から身を護る護身です。
まず、暴力から身を護る「護身」について。
「太極拳」と聞くと「お年寄りの健康体操」というイメージを持たれる方も多いようです。しかし、実は太極拳は、中国の皇帝も身につけていたという、歴史と伝統ある武術です。
皇帝をはじめ、身分の高い人々は、いわゆる「筋トレ」などはやりません。しかしひとたび戦争や反乱などが起きれば、それらの身分の高い人たちも、身体を鍛えている屈強な兵士と戦わなければなりません。そこで彼らが身に付けたのが、筋力や瞬発力ではなく「気」の力で戦う太極拳でした。
「気」とは、誰もが持っている生体エネルギーのことです。太極拳はその「気」と技術で戦う拳法なので、体格的に不利な方、腕力に自信のない方、高齢の方などでも護身術として活用できるのです。
皇帝や身分の高い人たちが身に付けた太極拳

「気」の力で病魔からも身を護る
次に、病魔から身を護る「護身」です。
自然界には、人の健康を害する「邪気」という悪い気が存在します。暑さ、寒さ、過度な湿気や乾燥、さらには細菌やウイルスなども邪気の一種です。
太極拳は、人が持っている気(これを「正気(せいき)」といいます)を強くすることで、これらの邪気が身体を侵襲することを防ぎます。つまり「免疫力」を強化して病気になりにくい身体を作るのです。
また、太極拳は「気」の流れを改善し、五臓六腑の機能を高めます。
例えば肺や肝臓、腎臓、胃、腸などの臓腑(内臓)が健康な状態であれば、自然の中にある空気や食物から栄養素を十分に吸収し、エネルギーに変えていくことができます。
さらに、肺の気(肺気)が良好であれば風邪など引きにくくなり、腎気が良好であれば老化防止に役立つというように、五臓六腑に正しく気が流れ、さらにその気の力が強くなると、さまざまな健康効果がもたらされます。
具体的には、ストレスの解消、集中力の向上、不定愁訴(※)の解消などに役立ちます。
(※)不定愁訴:病気ではなく、原因はわからないが、なんとなく体調がすぐれない、やる気が起きないなどの症状。
体の中の「正気」を強くすることで邪気を追い払う

一度覚えれば「一生もの」の技
太極拳は、中腰の姿勢で練習を行い、片足で立つ型などもあるため、自然に足腰が強化され、バランス感覚が磨かれます。これにより転倒によるケガなどを防ぐことができます。
加えて、肩、腰、股関節、膝などの関節を柔軟にする効果もあるため、肩こり・腰痛・膝痛などに大きな効果を発揮します。
このように健康にも寄与し、護身術としても使える太極拳は、一度覚えてしまえば、いつでもどこでも1人で行うことができ、さらに年齢に関係なく、長く続けることができます。
「一生もの」の技をぜひ身に付けてください。